vLLMとは
vLLMとは、大規模言語モデルの推論処理を高速化しGPUのメモリ消費を最適化するオープンソースの推論エンジンである
読み: ブイエルエルエム
かんたんに言うと
OSが物理メモリを仮想メモリとして細切れに管理するように、vLLMはGPU内のメモリをブロック単位で動的に割り当てて無駄をなくす。
GPUコストと応答速度のジレンマを根本から解消するvLLMの設計思想
UC Berkeleyの研究者らが開発したオープンソースの推論エンジンである。自社でLLMを動かそうとした人間なら必ず直面する壁がある。応答の遅さと、それを金で解決しようとした時のNVIDIA製GPUの目玉が飛び出るような請求書である。
モデルのパラメーター数が70Bを超えると、A100を複数枚並べてもユーザーの入力待ちでリソースが枯渇する。
vLLMはこのスループットの低さを根本から叩き直した。バッチ処理の最適化により、同じハードウェアでも数倍のリクエストを捌けるようになる。スピードとコストのトレードオフに悩む現場にとって、この性能向上は無視できない。
PagedAttentionが解決するGPUメモリの無駄遣い
なぜ従来の推論は遅かったのか。原因はKVキャッシュのメモリ管理にある。
生成されるテキストの長さは事前には分からない。だから従来のシステムは最大長に合わせてGPUメモリを確保していた。結果としてメモリの6割以上が使われないまま予約され、他のリクエストをブロックする。
ここでPagedAttentionが登場する。
メモリを固定長ではなく、OSのページングのように細かなブロック単位で動的に割り当てる。これによりメモリの無駄を1桁台まで削り落とした。同時に処理できるリクエスト数が跳ね上がる。現場のインフラ担当からすれば救世主に見えるだろう。
法務や経理の大量テキスト処理を支える周辺エコシステム
実際の業務でどう使うか。法務部門での契約書レビューや、経理部門での膨大な請求書データの照合を想像してほしい。
数万文字のコンテキストを連続で処理させる場合、OpenAIのAPIではコストが跳ね上がる。そこでLlama 3などのオープンモデルを自社環境にデプロイするわけだが、単体では動かない。
Hugging Faceからモデルを落とし、vLLMを立ち上げる。それをRay Serveで分散処理させ、LlamaIndex経由で社内データベースと繋ぐ。
ただ、この環境構築は一筋縄ではいかない。CUDAのバージョン依存やライブラリの競合で、環境構築だけで数日溶かすエンジニアを何人も見てきた。
自社専用の推論環境を構築すべきかの境界線
結局のところ、vLLMを導入すべきか。
コンプライアンスの観点でSaaSにデータを投げられない企業なら、オンプレミスでの構築は避けられない。その際、vLLMはインフラコストを抑える強力な武器になる。
だが、運用には専任のインフラエンジニアが要る。モデルのアップデートに追従し、GPUの熱暴走に怯えながらサーバーを監視する日々である。
APIの従量課金を受け入れるか、自社運用の泥臭さを引き受けるか。
どちらが正解かは、扱うデータの機密性と処理量によって変わる。インフラの維持費とAPIの利用料を天秤にかけることになるが、判断が分かれるところである。
当社の見解
当社はOpenAI APIを完全廃止し、EmbeddingもLLMも全てローカルで稼働させている(2026年4月時点)。これにより月額のAPI費用がゼロになっただけでなく、機密情報や顧客データを外部に送信せずにAI処理できるようになった。クライアントのログデータをマスキングなしでそのまま分析に回せるのは、ローカルLLMだからこそ実現できる。2026年4月にはOllama常駐実行(CPU 25%、GPU 30%を常時占有)を廃止し、FastEmbed(ONNX Runtime)による非常駐型推論に移行。処理が必要な瞬間だけプロセスを起動し、完了後に即座に終了する設計で、アイドル時のリソース消費をゼロにした。あえて一般的なデスクトップPC環境で複数のローカルLLMを実機検証した経験から言えることは、ベンチマークスコアと実務での使い勝手、そして常駐時のリソース消費は全て別の指標だということだ。
同じ失敗を二度としないAIエージェント
今のAIは、聞けば何でも答えてくれます。
でも、セッションが切れた瞬間に前回の失敗を忘れます。
当社が開発しているAIは、過去の経緯を念頭に置いて、
聞かれる前に「それは前回うまくいきませんでした」と声をかけます。
人間にも同じ失敗をさせず、AI自身も繰り返しません。
古参の社員が横にいるように、黙っていても気づいてくれる。
それが、当社が考える本当のAI社員です。
